糖尿病・甲状腺 病気と暮らしのガイド
橋本病と甲状腺機能低下症
甲状腺とは
身体を元気に保つホルモンである「甲状腺ホルモン(FT4とFT3)」を作っている小さな臓器です。
甲状腺機能とは、甲状腺ホルモンを作る機能のことを指します。
一緒に測定するTSH(=甲状腺刺激ホルモン)は、FT4とFT3を調節しているホルモンで、脳の下垂体から出ています。
出典:愛媛県厚生連健診センター
橋本病とは
「自己抗体(自分を攻撃する免疫物質)」の一種で、甲状腺に長期的な炎症を起こす『抗TPO抗体』や『抗サイログロブリン抗体』が陽性の方を医学的に「橋本病」と呼んでいます。甲状腺機能低下症の原因で一番多いのが橋本病です。
よく言われている「橋本病で起こる症状」は「甲状腺ホルモンが不足して初めて起こる」症状なので、甲状腺機能が正常な橋本病の方は治療が必要ありません。
『甲状腺機能が正常』 で生涯を過ごす方が7割、『甲状腺機能低下症』になる方が、3割、といわれています。
甲状腺機能低下症とは
甲状腺ホルモンが不足する状態のことを指します。
FT4が基準値未満もしくはTSHが10以上で甲状腺ホルモンの内服補充をします。(FT3だけが低いのは問題ない)

甲状腺機能低下症の原因(抜粋)
甲状腺機能低下症になった場合
甲状腺ホルモンの内服薬(チラーヂンSⓇ)で補充を行います。
チラーヂンは人工的に作られた甲状腺ホルモン剤で、大きな副作用はなく、生涯内服しても安全なお薬です。
1人ひとりに合わせて量の調整が必要ですが、数値が安定したあとは数ヶ月毎に採血チェックをします。
補充さえ続けていれば、寿命も生活の質も、甲状腺機能低下症のない方と変わりません。
落ち着いてからは専門医でなくお近くの内科でも大丈夫です。
必ず内服を継続してください。
治療を中断した場合、軽度では症状がなく過ごせることもあります。
しかし、機能低下が著しい方ではチラーヂンSⓇの補充が途切れて数ヶ月〜1年もすると、倦怠感がでて、その後は生命を保てないほど筋肉の働き・心臓の働きなどが悪くなり、呼吸や血圧を保てず、意識朦朧となって「粘液水腫性昏睡」という命の危険のある状態になります。
治療が始まったら生涯チラーヂンSの補充が必要なことを、ご家族にも伝えておきましょう。
橋本病および慢性甲状腺炎の方の生活上の注意点 (治療が必要な方もそうでない方も共通)
- ヨウ素の摂取量があまりに多いと、甲状腺ホルモンが乱れやすくなります。
一部の海藻類に多く含まれており、特に昆布・めかぶ・もずくは毎日摂取しないようにしてください。
昆布だしやわかめ・のり・あおさは普通の量であれば毎日でも問題ありません。 - イソジンの茶色いうがい薬の使用は避けてください。透明なうがい薬は大丈夫です。
- 半年〜1年に1回ホルモン値をチェックすると早期に機能異常に気づくことができます。
- 体調不良(特にむくみ、体重増加、疲労感など)が3ヶ月以上続くときは医療機関で甲状腺ホルモン値の血液検査をお願いしましょう。
- 急激に甲状腺が腫れてきた場合や痛みがでた場合はかかりつけ内科もしくは内分泌専門医を受診しましょう。
- 妊娠前はホルモン値をチェックしましょう(妊娠前に甲状腺機能低下があると赤ちゃんに影響するため)。
- 妊娠中は1ヶ月毎のチェックが推奨されています(妊娠中はホルモンの補充が必要なことがある)。
- 妊娠を希望する場合はTSHを2.5未満に保つようチラーヂンを少量内服すると妊娠率が上がるというデータがあります。ご希望があれば産婦人科もしくは内分泌内科でご相談ください。

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